心室頻拍
- 心室期外収縮が引き金となり、突然、発作的に頻拍となる。QRSは幅広く、脚ブロック型となる。
- P波は、ほとんどの場合、確認できない。
- 血圧は低下することが多く、頻拍状態が著しいほど、血圧は、より低下する傾向にある。
- 稀に、血圧はあまり低下せず、症状も軽い場合もある。
- もし、VTに遭遇した場合、直ちに医師を呼ぶとともに、Vitalをチェックする。
心室頻拍(ventricular tachycardia; VT)は、心室に発生した異所性興奮が旋回することや心筋細胞の自動能が亢進することで発生する。心室期外収縮が3連発以上発生すると心室頻拍と定義される。心室の興奮頻度は120~250/minとなる。心筋梗塞が基礎疾患として存在する場合には、頻拍によって心臓のポンプ作用が低下し、血圧の低下や心拍出量の減少が起こる。
心室頻拍は30秒以上持続する持続性(sustained VT)と、30秒以内に自然に治まる非持続性(nonsustained VT)に分類される。レートが70~120程度の緩やかな頻度で発生するタイプをslow T(促進型心筋固有調律)といい、これは心室の自動能が亢進して発生するタイプで、比較的予後の良いものである。
さらにQT延長症候群という疾患に発生する心室頻拍で、頻拍時の波形がねじれたような形を取るものをtorsade de pointes トルサード・ド・ポアーといい(atypical ventricular tachycardia; AVTともいう)、時に心室細動に移行する場合がある。
心室頻拍に伴う血圧変化
心室頻拍が発生すると、心室から拍出される血液量が著しく減少するために、血圧の低下が起こりやすい。背景に心筋梗塞があると、その傾向がより顕著となることが多く、時に救命処置が必要となる。
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